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アルバム売りさん

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なりたい自分

                       
ブログを書き始めて四年になる。ブログというのは、日々
の出来事や意見など
を書いて、インターネットで公開するも
のだ。不特定多数の人が読むが、書き続けるうち、読者は徐々
に常連さんにしぼられてきた。赤裸々な吐露が多い私のブロ
グなので、常連の読者は、家族の次に私の内面を理解してく
れている。そのうちのお一人が、私を花にたとえてくれた。
 花の名はブルーデイジー。コスモスに似てひょろっと細長
い茎に、やはりコスモスに似た頼りなげな花をつけている。
淡い青紫の色と、風に吹かれてゆらゆら揺れて、折れないそ
の姿が、私のイメージに重なるそうだ。これは、嬉しい。私
が目指す自分像に近いからだ。
 華道を習って、しなやかに曲がる枝があるのを知った。硬
い枝は、少し切れ目をいれてやるとパキッと簡単に折れるけ
れど、しなやかな枝はなかなかてごわい。太くて硬い枝より
も、細くてしなやかな枝のほうが、実は強いのだ。
 しなやかにしなるか細い枝のように、どんな苦境にも、気
負わず柔軟に対応できる芯を持つ人でありたいと、ずっと思
い続けてきた。だから、私の内面を知る友人から、風にそよ
いで折れないブルーデイジーのようだと言われたことは、小
さな驚きであり大きな喜びだ。
 二年前だったか、私のその理想の自分像を形にしたような
花瓶にでくわした。ガラス製で、高さは二十センチほど。上
から三分の一くらいのところでくびれている。ぞうきんをし
ぼったようにぐにゃぐにゃとねじれていて、見る角度によっ
て様々な表情を見せる。その一方で、絶妙なバランスで、絶
対に倒れないという安心感をも与えてくれる。印象をひとつ
に定めないその柔軟な様子。いかにもどっしりという印象で
はないのに、その実したたかな芯を持つ、秘めたる安定感。   
しなる枝という、私の胸の内の動的なイメージを、花瓶は、
具体的な形をもって、私に示してくれたのだった。
 ブルーデイジーにたとえてもらったことを思うと、この花
瓶を初めて手にしたあの頃に比べて、ひょっとしたら、私は
なりたい自分に、少しくらいは近づけているのかもしれない。


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